教科名:日語会話4
対象:外国語学院 日本語学科2年生
教科書:新経典日本語 会話教程 第二冊、第2版 第9課~16課
実施日時:(第7回目、第10課の2回目)
A組 3月22日(火) 08:10~09:30、27名出席(遅刻3名)
B組 3月24日(木) 08:10~09:30、26名出席(遅刻2名)、1名欠席
1.授業前の出欠クイズ
問い:次の文の下線部_ には、何が入りますか。
文:明日は 雪が_ 、必ず行きます。
A:降って
B:降っても
正解はBです。
A組:回答23名:正答B16名、誤答A7名
B組:回答24名:正答B21名、誤答A3名
逆接の「~ても、」の問題は毎回間違いが多いです。今回は正答率がかなり高かったとみるべきです。「~ても、」が使えない理由は、きちんと教えていないということなのですが、少し分析すると、次のようなことが言えそうです。
① 教える側が「~て/で、」を使えば何でもつなげられると学習者に思わせている可能性があります。「~て/で、」万能主義みたいなものです。
② 学習者では、使える接続助詞が「~て/で、」だけの人も多いようです。
② 接続助詞には順接と逆接の区別があることを教えず、わかりやすい順接の接続助詞だけ教えて、逆接の接続助詞は後回しか教えないままになります。そうではなく、みんなの日本語の25課のように、順接「たら、」と逆接「ても、」を対比させて教えるなどの工夫が必要です。
2.前回の復習
① 動詞、イ形、ナ形+様態「そうだ」の接続
・「よい」「いい」「ない」+そうだ
・「かわいそうだ」は意味が違うナ形容詞です。
② 様態「そうだ」の分類:趨勢、予測、外観
・クイズ1問目
オレンジ問題
(様態) ことしは桜の花が早く咲[き]そうです。
正解はCです。Dと答えると伝聞になります。
回答者13名、正答C13名、誤答なし
黄色問題
(様態) 彼はすることがなくて、ひま[ ]そうですね。
正解はAです。Bの「な」を使うのは「そうだ」ではなく「ようだ」の時です。CやDで答えると伝聞になります。
回答者14名、正答A14名、誤答B1名、D1名
緑問題
(様態) 風が強くて、木が倒[れ]そうです。
正解はBです。Aの「り」を選んだ人は母音の「イ」と「エ」が区別しにくいのだと思います。
回答者13名、正答B11名、誤答A2名
水色問題
(様態) そのセーターは、きれいだし、あたたか[ ]そうですね。
正解はDです。Bの「いだ」を選んだ人はイ形容詞述語文の普通体の文末が「い。」で終わることを習得していません。この水色問題にはすこし問題があって、イ形容詞「あたたかい」とナ形容詞「あたたかな」が存在します。学習者はどちらなのか迷ったと思います。
回答者13名、正答D11名、誤答B1名、C1名

3.応用練習1:「そうだ」外観
「形容詞+様態そうだ」の練習をしました。また、友だちの家族の呼び方と、自分の家族の呼び方を少し復習しました。
4.ちょっと腕試し
「の」の使い方
① 名詞1の名詞2
② 用言を体言化する「の」
①と②に当てはまらない間違いがあります。「動詞+名詞」にしたいとき、間に「の」を入れてはいけません。動詞を名詞の前に置くとき、動詞を辞書形、タ形、ナイ形などに活用させます。
5.「ようだ/ようです」
・①比喩、②例示、③推定
・「動詞/イ形/ナ形/名詞+ようだ」の接続
・クイズ2問目
オレンジ問題
・李さんが はいているよう[な] 靴がほしいです。
正解はDです。「ようだ」はナ形容詞型の活用をしますから、名詞「靴」の前に置くときは「な」になります。Bを選んだ人は、名詞の前に「の」を置きたくなるのかもしれません。
回答者13名、正答D10名、誤答B3人
黄色問題
・音楽が、流れるよう[に] 聞こえてきました。
正解はCです。「ようだ」はナ形容詞型の活用をしますから、動詞「聞こえてくる」の前に置くときは「に」になります。
回答者14名、正答C9名、誤答A3名、B2名
緑問題
・このジュースの味は バナナのよう[です] 。
正解はAです。
回答者13名、正答A12名、誤答B1名
水色問題
・佐藤さんの浴衣の色は、まるで 深い海のよう[だ]と思いました。
正解はBです。Aの「です」を選んだ人は、発話・思考内容を受ける「と」の前は普通体の文末と同じ形になることを習得していません。
回答者13名、正答B11名、誤答A2名

7.比喩「ようだ」:基礎会話3
基礎会話3は比喩の「ようだ」と例示の「ようだ」が含まれますが、時間の関係で比喩の方だけ練習しました。
8.まとめ
・今日のまとめ
「動詞/イ形/ナ形/名詞+ようだ」の接続
・宿題の暗記文
<まだ、ここに書くことはできません。>
・終わりの作文
Task:「ようだ」が比喩を表す文を作りなさい。
N1は N2のようなN3です。
例1:スモモは小型の桃のような果物です。
例2:日本列島は右を向いた恐竜のような形です。
例3:ルームメイトは 仲が良くて、家族のような人たちです。
雑記:
今回は「ようだ」を導入しました。時間の関係で、比喩の用法の練習だけをしました。そのため、終わりの作文も比喩の「ようだ」で作文してもらったのですが、一部の学習者は例示の用法で文を作りました。授業後のフィードバックで、そのような学習者には指摘しています。
その終わりの作文の文型ですが、N3までは要らなかったと思います。「N1はN2のようです。」という文型でも、比喩「ようだ」の習得確認には十分だったように思います。
1限目と2限目の間には、いつも写真を1枚見せています。今回の写真は田んぼの前に看板があって、空き缶の投げ捨てをしないようにという文言がありました。空き缶が「空缶」と表記されていたので、学習者に読み方を聞いたところ、この2年生だけでなく、3年生も含めて全員「クウカン」と音読みしました。確かに漢字2文字の言葉は2文字とも音読みすることが多いのですが、まれに「訓読み+音読み」する湯桶読みの漢字言葉、「音読み+訓読み」する重箱読みの漢字言葉があることを説明しました。
ただし「空缶:あきカン」が厳密に湯桶読みの言葉といっていいのか、私はわかりません。「空き缶」の送り仮名「き」の表記を省略しただけの、「見かけ上 湯桶読み言葉」なのかもしれません。しかし私としては、漢字語の読み方の複雑さを知ってもらえればと思って、学習者に説明しました。
クイズの時に寮部屋で答えを教え合うことを防止するために、今回から問題を4種類にしました。これは前学期やっていた方法です。採点と集計が大変になりました。しかし個人個人の弱点を明らかにするためには、教え合いを防がなければなりません。