教科名:日語会話4
対象:外国語学院 日本語学科2年生
教科書:新経典日本語 会話教程 第二冊、第2版 第9課~16課
実施日時:(第2回目)
A組 3月2日(水) 08:05~09:25、27名出席、ただし2名は出席登録なし
B組 3月4日(金) 08:05~09:25、27名出席、1名無断欠席
授業内容:
1.授業前の出欠クイズ
問い:図書館の人に言います。どちらが良いですか。
A:「この3冊を借ります。」
B:「この3冊を借りる。」
正解はAです。
A組:回答25名:正答A25名
B組:回答27名:正答A25名、誤答B2名
図書館のような公的な場所で人に話すときは丁寧体(です・ます調)を使います。Bのような普通体(だ・である調)で人に話しかけてはいけません。
2.前回の復習
・他動詞の動作対象には助詞「を」を使うこと、物のやりもらいの「あげる/もらう/くれる」
3.日本語概説2:動詞の活用
・動詞の活用の概論:変化しない語幹と、変化する接尾辞
・クイズ1問目

正解はDです。
A組:27名回答:正答D21名、A4名、E2名
B組:27名回答:正答D23名、各種誤答4名
「話す」のようにアイウエオ段に渡って活用するのが五段動詞です。語幹の最後の字がイ段かエ段で変わらないのが一段動詞です。ナイ形を作ってみると、五段動詞か一段動詞なのか区別できます。ナイ形「話さない」をみると、「ない」の前の字の「さ」はア段の音ですから、「話す」は五段動詞です。「食べる」のナイ形「食べない」をみると、「ない」の前の字の「べ」はエ段の音ですから、「食べる」は一段動詞です。
・テ形の機械練習
4.2限目開始前の「ちょっと腕試し」コーナー
・Vテイルの4用法、反復、現在進行中、持続、結果残存
5.基礎会話1:Vテあげる
Vテあげる、Vテもらう等の恩恵の表現は、誰が誰に何をどうしたのか、読み取らなければなりません。効率的な習得のためには、「主語=私」にして、学習者にとって真正性の高い例文を使うべきだと思います。ところが、この新経典日本語会話教程第二冊の第9課・基礎会話1の例文は、「林さんはお子さんにVテあげているんですか」などと「私」を使わない文で学習することになっています。
この点、みんなの日本語初級I24課では、きちんと「私」を使っています。恩恵を受ける「Vテもらう」では「私」が主語の文を使っています。恩恵を与える「Vテあげる」でも「私」が主語の文を使っています。恩恵を与えるけれど「私」が主語になれない「Vテくれる」は恩恵を受ける人を「私」にしています。このように「私」を例文に使う配慮をしています。
新経典日本語 会話教程 第二冊は、このような配慮が足りません。また、学習者の負担を考慮せず、不必要に習得項目を2つ組み合わせることも多いと感じています。
本日の授業では、この基礎会話1から、例、練習1、練習4を実施しました。練習4のときに学習者が「上野さんのお孫さん」を「孫」と呼んだため、他者の親族を呼ぶときの注意点を強調しました。
・クイズ2問目

正解はAです。
A組:回答26名(1名無回答):正答A14名、誤答D10名、誤答B2名
B組:回答27名:正答A13名、誤答D7名、誤答B6名、誤答C1名
学習のターゲットは「Vテあげる」をしっかりと習得することです。しかし、教科書には、恩恵を受ける人を3段階に分けて、表現の違いが記載されています。相手が上の立場のときは「Vテさしあげる」にすることも、知っておいた方がいいでしょう。ただし、相手が下の立場のときに「Vテやる」を使うのは乱暴に響くため、現在では相手が犬であっても「Vてあげる」を使う傾向があるそうです。
したがって、このクイズは3段階の表現の違いを学ぶと言うよりは、中段の白い部分で「恩恵を与える人」「恩恵を受ける人」と言っているのが、上段の灰色部分で誰に相当するのか、論理的に理解することの方に目的を持たせたつもりです。その点では、Dの誤答が多いのはちょっと残念な結果でした。アとイが正答と逆転していますし、ウでは人より犬の方が偉いことになっています。
6.まとめ
・宿題の暗記文
<まだ、ここに書くことはできません。>
・終わりの作文
Task:次の文を作りなさい。主語「私は」です(書かない)。
[人]に [物/こと]を [Vテ] あげました。
注意![人]は、自分と同じ身分の人か、少し低い身分の人にします。
例1:友だちに 日本語の辞書を かしてあげました。
例2:弟に 紙飛行機を 作ってあげました。
雑記:
私は2台のパソコンを使用してオンライン授業を行っています。一方、韓国語のJ老師はノートパソコン1台、ダブレット大・中それぞれ1台、スマホ1台でオンライン授業をしているようです。微信に写真を載せていました。J老師はテンセント・ミーティングを使っていて、私のDingtalkより使い勝手や安定性が良いでしょう。おそらくそれらの機器とテンセント・ミーティングの機能を駆使してハイテクなオンライン授業をしているものと思われます。
一方、私は2台のパソコンでローテクなオンライン授業をしています。私の方は、教室での対面授業に近いオンライン授業を目指しています。だから教室と同じようにスクリーンに投影して、私がその横で動き回る様子をウェブカメラでとらえて、動画として配信しています。
どちらが優れているというのではなく、各教師が自分自身に合った方法でオンライン授業をすればよいでしょう。私は、残念ながら、自分自身のITリテラシーがやや低いこともあって、自分にできる方法として現在の授業方法に落ち着いた面があります。J老師のようにデバイスの画面上ですべて行う方法にも利点があります。まず小さい字を使っても学生にははっきりと読めるので、1枚のスライドに多くの情報を書き込むことができます。またデータの転送量が少ないので、通信が安定します。当該国では通信が混んだりすると、動画のように情報量の多いデータは障害を起こしやすくなります。
私の、プレゼンを教室と同じようにやって動画配信する方法は、やはり動画ですからデータの転送量が多く、通信障害の影響を受けます。また、スクリーンに投射した時点でピンボケになり、ウェブカメラのレンズを通した時点でピンボケになり、転送可能な画質に落とした時点でまたピンボケになります。ですからあまり小さな字を使うことはできません。私がパワーポイントのスライドを作るときは、文字サイズを24ポイントにしています。漢字の読み仮名が必要な時は16ポイントにしますが、学生の画面ではほとんど読めない字になっているようです。
そのように字がぼやけて1枚のスライドに書き込める情報が多くなくても、教師の私の表情や動きが学習者には見えるので、とくに会話の授業などでは今のやり方が良いと思っています。画面を手差しするなどの動作が素早くできて、学生にも伝わります。ただし、エプソンのプロジェクターの光が強烈ですので、画面は明るくても、その横にいる私の表情は暗いです。そのため、今回、私を照らす100W電球を取り付けてみました。まだ私の顔は暗いのですが、「そこにいる」くらいは学生にわかるようになりました。
しかし、まあ、どんなに頑張っても、オンライン授業は教室の対面授業にはかないません。現地にいる日本人教師に比べて、私は圧倒的に不利です。もちろん、不利だと嘆いて何もしないのではありません。学習者の利益のために、少しでも効果的なオンライン授業をするように工夫を重ねるつもりです。