Class Activities Record of “Japanese Conversation 4”: 4th-class in Spring Semester 2022

教科名:日語会話4

対象:外国語学院 日本語学科2年生

教科書:新経典日本語 会話教程 第二冊、第2版 第9課~16課 

実施日時:(第4回目)
A組 3月9日(水) 08:05~09:25、27名出席
B組 3月11日(金) 08:05~09:25、26名出席、2名欠席

1.授業前の出欠クイズ

切手(きって)、ポケットなどの小さい「っ、ッ」について、正しいのはどちらですか。
A:字が小さくても、1拍分の長さがあります。
B:字が小さいから、この音の長さは短いです。

正解はAです。

A組:回答26名:正答A21名、誤答B5名
B組:回答23名:正答A22名、誤答B1名

 多くの場合、「っ」は音がありません。音がない状態を1拍分続けます。サ行の音など、摩擦音の前の「っ」は摩擦の息が出ます。
 学習者にとっては、促音「っ」の発音の仕方、拍の取り方を教わったり、練習したりする機会がほとんどありません。私の授業では学習者が「っ」を短く発音すると必ず言い直しをさせます。また下に示す図を見せて、視覚的にも「無音が1拍」を理解させようとします。それでも学習者の短い「っ」は、なくなりません。
 歴史的仮名遣いでは促音「っ」を他の文字と同じ大きさ「つ」で表記していました。1拍分の長さがあると言うことを意識するには、大きく書いた「つ」の方がいいかもしれません。B組に対しては前学期に既に同様の問題を出しています。そのときは正答が20名、誤答が5名でしたから、今回のA組と同様です。「っ」の表記が小さい文字であるため、短いと理解する学習者が2割いるということです。

破裂音の前の促音「っ」が無音状態であること示す音声波形


2.前回の復習

・「Vテもらう」と「Vテくれる」の違い:
 教科書の第9課、基礎会話2を使った演習

・クイズ1問目

 正解はAです。解説は下の画像で示します。Fだと思った学習者は、以下が成り立つと考えました。
× 私は 佐藤さんに 大阪城へ 連れて行って あげました。
この文は助詞を直さなければ なりません。
○ 私は 佐藤さんを 大阪城へ 連れて行って あげました。

 ここで、「大坂城」じゃなくて「大阪城」の表記を使いましたが、現在の大阪城と言うことで、お許しいただきたいです。

A組:回答27名:正答A14名、誤答F12名、誤答D1名
B組:回答26名:正答A19名、誤答F6名、誤答D1名

クイズ1問目:「あげる/もらう/くれる」の使い分け




3.応用練習1:例
 教科書では「1人語り」になっていますが、教師の判断で「例」を会話に作り替えました。第3回の授業でも取り上げています。今日はペアに会話形式で読んでもらいましたが、「あげる/もらう/くれる」の使い分けが難しい状態でした。また、助詞の選択に際して、「はが構文」の悪影響がみられました。


4.敬語表現の基本
・日本語で話すとき、相互尊重を基盤として、相手の人と良い関係を保ちながらコミュニケーションします。
・状況と相手に合わせて、スピーチ・スタイルを正しく選びます。
・敬意を払う人を重視して、身内の人、身内ではない人の呼び方を正しく選びます。
・尊敬語と謙譲語のコンセプト
・恩恵表現「もらう/あげる/くれる」の敬語化


5.ちょっと腕試し
・動詞、イ形容詞、ナ形容詞の見分け方
・動詞、イ形容詞、ナ形容詞を短く言い切ったとき


6.クイズ2問目

正解はCです。ほとんど全員正解でした。

A組:回答27名:正答C25名、誤答B2名
B組:回答26名:正答C26名

クイズ2問目:相手との関係性に合ったスピーチスタイル


7.基礎会話3:Vテいただけませんか
 教科書では2人の上下関係を無視して「Vテいただけませんか」を使っています。この「Vテいただけませんか」は目上の人にお願いする時に使います。私の授業では、上下関係を設定しました。例、練習1、練習3は目上の人にお願いをします。練習2は友だちにお願いをします。(練習4は時間の都合で省略)


8.まとめ

・まとめ
 相互尊重、ウチソトでの呼称、Vテいただけませんか

・宿題の暗記文
<まだ、ここに書くことはできません。>

・終わりの作文
Task:自分より目上の人にお願いをする文を作りなさい。
{ [目上の人]、 [物/こと]を [Vテ] いただけませんか。}
例1:先生、日本語の作文を 直していただけませんか。
例2:お客様、ご注文を もう一度言っていただけませんか。

 なお、例2は「言って」だと「いただけ」との敬度のバランスが取れないため、「おっしゃっていただけ」とすべきかもしれませんが、特定形式の尊敬語を使うのは時期尚早と判断して、「言っていただけ」にしました。



雑記:
(1) ウチソト関係で、「家族以外の人と話しているとき、自分の母親を『お母さん』と呼んではいけません。『母』と言いなさい」と授業中に指導したところ、終わりの作文で次のようなものが出て来ました。

母、ご飯を作っていただけませんか。

 このように書いた人が2クラスで4人いました。家族の中での会話では、そして特に母親本人に向かって呼びかけるときは「お母さん」と呼びます。しかし、私が説明したとき、「家族以外の人と話しているとき、」という条件の部分は理解できなかったのです。理解できたのは後半の「自分の母親を『お母さん』と呼んではいけません。『母』と言いなさい」の部分だけだったのです。条件の部分が理解できなかったので、すべての場合に適用してしまうということは、よくあることだと思います。

(2) 今日は用言:動詞、イ形容詞、ナ形容詞の区別を腕試しで取り上げました。私自身はこれらの用語をよく使いますが、日本語を教える中で、メタ言語はほとんど役に立たないと言うことをいつも思い知らされます。教師の側からすると、メタ言語を使えば説明が楽になるように思いますが、学習者からすると、メタ言語は理解を妨げる、さらに余計なハードルになるのではないでしょうか。
 とはいえ、動詞、イ形容詞、ナ形容詞は日本語の説明でどうしても必要な用語です。学習者がその意味を分からないのに教師が用語を振り回しても、全く意味がないというか、有害かもしれません。次の課で「ようだ、そうだ」を学習します。そのさい、名詞も含めた4自立語との接続が問題になりますから、どうしてもこれらの区別が付くようになってほしいと思って、今日は取り上げてみました。

(3)「いただけませんか」を「いただきませんか」や「いただけませんが」と誤記する学習者がみられました。「か」と「が」の違いはよく見られるものです。単純に発音が似通っているために起きる現象か、ピンインのgとk、日本語のgとkの違いが影響するかなどは、今後検討したいと思います。

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