「ら抜き」について:ある学生へのメッセージ

「ら抜き」とは、動詞の可能形から、「ら」を抜いてしまうことです。

可能形を見てみましょう。
辞書形 → 可能形です。

・一段動詞
(上一段)
見る:みる → みられる
着る:きる → きられる
(下一段)
寝る:ねる → ねられる
食べる:たべる → たべられる

・カ変動詞
来る:くる → こられる

・サ変動詞
する → できる

・五段動詞
ワ行:買う:かう → かえる
カ行:聞く:きく → きける
ガ行:泳ぐ:およぐ → およげる
サ行:話す:はなす → はなせる
タ行:持つ:もつ → もてる
バ行:飛ぶ:とぶ → とべる
マ行:飲む:のむ → のめる
ラ行:作る:つくる → つくれる

上に書いた可能形をよく見てください。「ら」があるのはどの動詞ですか?
・一段動詞
・カ変動詞
この2つです。この2つの可能形から「ら」を取って(抜いて)言うことが多くなっています。

「ら抜き」の例
・一段動詞
○みられる → ×みれる
○きられる → ×きれる
○ねられる → ×ねれる
○たべられる → ×たべれる
・カ変
○こられる → ×これる

このような「ら抜き」は、規範的な日本語としては、まだ認められていません。しかし、若者の間では「ら抜き」が一般的になっています。

ちょっと紛らわしいのですが、ラ行五段動詞の可能形は「ら」がありそうですが、ありません。
・作る → ○つくれる、×つくられる(可能形として)
・取る → ○とれる、×とられる(可能形として)
・帰る → ○かえれる、×かえられる(可能形として)
「ら」の入った方は、動詞や状況によりますが、受身や尊敬で使います。

受身や尊敬との関係で言えば、「ら抜き」は可能形と、受身・尊敬を区別するという効用があります。授業で示した例文は次のようでした。

例:日本から有名な先生が来られます。公開講義をしますから、来れる学生は参加しなさい。

「来られます」は先生に対する尊敬です。「来れる」は「ら抜き」ですが、可能を表します。このような効用がありますが、まだ「ら抜き」は正式には認められていません。しかし、「来れる」などの「ら抜き」は言いやすく、一般的になってしまったので、もう「来られる」に戻ることは難しいと思います。

以上、「ら抜き」の説明でした。

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