Class Activities Record of “Japanese Conversation 4”: 8th-class in Spring Semester 2022

教科名:日語会話4

対象:外国語学院 日本語学科2年生

教科書:新経典日本語 会話教程 第二冊、第2版 第9課~16課 

実施日時:(第8回目、第10課の3回目)
A組 3月23日(水) 08:10~09:30、27名出席
B組 3月25日(金) 08:10~09:30、26名出席、1名欠席


1.授業前の出欠クイズ

問い:次の文の下線部_ には、何が入りますか。

文:あした 雨 _ 降ったら、運動会はありません。
A:が
B:は

正解はAです。

A組:回答27名:正答A27名、誤答なし
B組:回答26名:正答A25名、誤答B1名

 ほとんど全員が正答でした。「雨が降る」ことは「運動会をしない」ことの条件です。条件節の中で、何がどうなるのか示さなければなりません。ですから、主語をはっきりと特定する「が」を使います。


2.前回の復習

① 様態「そうだ」の分類:趨勢、予測、外観
② 「動詞/イ形/ナ形/名詞+ようだ」の接続


3.ようだ(例示):基礎会話3

・クイズ1問目

オレンジ問題
正解はC=意志的な行為です。Aと紛らわしいことは確かだと思います。
回答者13名、正答C10名、誤答A1名、B1名、D1名

黄色問題
正解はA=動作の目的です。Cと紛らわしいのですが、タクシーで行くという動作の目的は会議に間に合わせることです。
回答者14名、正答A11名、誤答B1名、C2名

緑問題
正解はD=推測、判断です。
回答者13名、正答D12名、誤答B1名

水色問題
正解はB=事態の帰結成立です。
回答者13名、正答B6名、誤答D5名、C2名

クイズ1問目:「ようだ」の各種用法


4.応用練習2:「みたいだ」比喩

「みたいだ」は話し言葉で使います。「天使のようだ」は「天使みたいだ」になります。「の」がないことに気をつけます。


5.ちょっと腕試し
促音「っ、ッ」
・小さい「っ」の1つ分の長さがあります。
・日本語の発音では「拍の等時性」と言って、長音「―」、撥音「ん」、促音「っ」も同じ1拍長さがあります。
・促音「っ」は、次の子音の準備をして、1拍です。
・次の子音が破裂音なら、破裂の準備で気道が閉じていますから、無音の1拍です。
・次の子音が摩擦音なら、気道は閉じませんから、摩擦の息が漏れて1拍です。


6.典型の「らしい」

・基礎会話4で練習しました。「らしい」は次の11課で出てくる推定の「らしい」が重要です。基礎会話4では「ばかり」を使っていますので、クイズ2問目は「ばかり」の2用法について質問しています。

・クイズ2問目

オレンジ問題
田中さんは 自分の意見ばかり言って、人の意見を聞きません。
正解はBです。自分の意見を言うこと1つに偏っています。 回答者13名、正答B11名、誤答A2名

黄色問題
宿題はさっき、30分前に 終わったばかりなんです。
正解はAです。30分前ですから、終わった直後です。
回答者14名、正答A12名、誤答B2名

緑問題
髪の毛は 先週 切った ばかりなんです。
正解はAです。髪の毛を切る頻度を考えると、先週切ってからの時間は短いと考えてよいでしょう。つまり、動作の直後です。
回答者13名、正答A13名、誤答なし

水色問題
吉田さんは 毎日 仕事して ばかりいて、ぜんぜん休みません。
正解はBです。仕事ひとつに偏っているということです。
回答者13名、正答B10名、誤答A3名

クイズ2問目:「ばかり」の2つの用法


7.ここまでのまとめ
第10課に入って3回授業をしました。助動詞など、いくつか学びましたので、頭の整理のために、まとめをしました。
10課1回目 様態「そうだ/そうです」←→伝聞「そうだ」
  ・様態の外観の「そうだ」
  ・様態の予測の「そうだ」
10課2回目「ようだ/ようです」
  ・比喩の「ようだ」 
10課3回目(今回)
  ・例示の「ようだ」
  ・比喩の「みたいだ」
  ・典型の「らしい」


8.宿題と終わりの作文

・宿題の暗記文
<まだ、ここに書くことはできません。>

・終わりの作文

Task:「みたいだ」が比喩を表す文を作りなさい。
 N1は[理由](ので,から,て/で、)、
まるで N2みたいなんです。
例1:李さんは 運動神経がいいので、スポーツを始めると、まるで水を得た魚みたいなんです。
例2:今日は 35度もあるから、まるで 真夏みたいなんです。
例3:妹は 髪が短くて、まるで 男の子みたいなんです。


雑記:
 典型「らしい」については、差別的ステレオタイプを助長しそうな表現になりますので、私はあまり取り上げたくなかった用法です。次の11課で推定の「らしい」が出てきます。こちらの方が重要ですので、そのときにしっかり教えようと思います。教科書ライターは同じ「らしい」の別の用法と言うことで、典型「らしい」を無視できなかったのでしょう。しかし、典型「らしい」は「ようだ」「そうだ」からは少し浮いた感じがします。助動詞の効率的な習得を目指すなら、取り上げなくても良いように思います。

 日本語は時制によって語形変化します。2年生の後半ではありますが、その点をまだ理解していない学習者がいました。時制に係わる語形変化は母語にありませんから、適切に教えられ、適切に習得しなければ、学習者にとってはまったく想像外のことになるでしょう。母語では想定されない、したがって、これまでの自分の思考・経験からはまったく理解できないものを認知して、新たに技能として習得しなければいけません。これが第二言語習得の難しいところだと思います。
 母語になくて第二言語にあるような事柄も抵抗なくどんどん吸収する人がいたら、そういう人は、第二言語習得が得意でしょう。しかし、私の学生を見ても、そのような学習者はごく少数だと思います。もう一方の極端な例は、母語になくて第二言語習得で遭遇する新しい概念は、受け入れて習得するどころか、認知の扉から弾き返してしまうタイプの学習者です。このタイプはある程度いるように感じます。だから、私に必要なのは、なんとか学習者の認知の扉を開けさせて、その隙間から、日本語の特有の考え方や使い方を学習者が取り込めるようにしてあげることだと思っています。

Class Activities Record of “Japanese Conversation 4”: 7th-class in Spring Semester 2022

教科名:日語会話4

対象:外国語学院 日本語学科2年生

教科書:新経典日本語 会話教程 第二冊、第2版 第9課~16課 

実施日時:(第7回目、第10課の2回目)
A組 3月22日(火) 08:10~09:30、27名出席(遅刻3名)
B組 3月24日(木) 08:10~09:30、26名出席(遅刻2名)、1名欠席


1.授業前の出欠クイズ

問い:次の文の下線部_ には、何が入りますか。

文:明日は 雪が_ 、必ず行きます。
A:降って
B:降っても

正解はBです。

A組:回答23名:正答B16名、誤答A7名
B組:回答24名:正答B21名、誤答A3名

逆接の「~ても、」の問題は毎回間違いが多いです。今回は正答率がかなり高かったとみるべきです。「~ても、」が使えない理由は、きちんと教えていないということなのですが、少し分析すると、次のようなことが言えそうです。

① 教える側が「~て/で、」を使えば何でもつなげられると学習者に思わせている可能性があります。「~て/で、」万能主義みたいなものです。
② 学習者では、使える接続助詞が「~て/で、」だけの人も多いようです。
② 接続助詞には順接と逆接の区別があることを教えず、わかりやすい順接の接続助詞だけ教えて、逆接の接続助詞は後回しか教えないままになります。そうではなく、みんなの日本語の25課のように、順接「たら、」と逆接「ても、」を対比させて教えるなどの工夫が必要です。


2.前回の復習

① 動詞、イ形、ナ形+様態「そうだ」の接続
・「よい」「いい」「ない」+そうだ
・「かわいそうだ」は意味が違うナ形容詞です。

② 様態「そうだ」の分類:趨勢、予測、外観

・クイズ1問目

オレンジ問題
(様態) ことしは桜の花が早く咲[き]そうです。
 正解はCです。Dと答えると伝聞になります。
回答者13名、正答C13名、誤答なし

黄色問題
(様態) 彼はすることがなくて、ひま[ ]そうですね。
 正解はAです。Bの「な」を使うのは「そうだ」ではなく「ようだ」の時です。CやDで答えると伝聞になります。
回答者14名、正答A14名、誤答B1名、D1名

緑問題
(様態) 風が強くて、木が倒[れ]そうです。
 正解はBです。Aの「り」を選んだ人は母音の「イ」と「エ」が区別しにくいのだと思います。
回答者13名、正答B11名、誤答A2名

水色問題
(様態) そのセーターは、きれいだし、あたたか[ ]そうですね。
 正解はDです。Bの「いだ」を選んだ人はイ形容詞述語文の普通体の文末が「い。」で終わることを習得していません。この水色問題にはすこし問題があって、イ形容詞「あたたかい」とナ形容詞「あたたかな」が存在します。学習者はどちらなのか迷ったと思います。
回答者13名、正答D11名、誤答B1名、C1名

クイズ1問目:様態「そうだ」の文


3.応用練習1:「そうだ」外観

「形容詞+様態そうだ」の練習をしました。また、友だちの家族の呼び方と、自分の家族の呼び方を少し復習しました。


4.ちょっと腕試し
「の」の使い方
① 名詞1の名詞2
② 用言を体言化する「の」
①と②に当てはまらない間違いがあります。「動詞+名詞」にしたいとき、間に「の」を入れてはいけません。動詞を名詞の前に置くとき、動詞を辞書形、タ形、ナイ形などに活用させます。


5.「ようだ/ようです」

・①比喩、②例示、③推定
・「動詞/イ形/ナ形/名詞+ようだ」の接続

・クイズ2問目

オレンジ問題
・李さんが はいているよう[な] 靴がほしいです。
 正解はDです。「ようだ」はナ形容詞型の活用をしますから、名詞「靴」の前に置くときは「な」になります。Bを選んだ人は、名詞の前に「の」を置きたくなるのかもしれません。
回答者13名、正答D10名、誤答B3人

黄色問題
・音楽が、流れるよう[に] 聞こえてきました。
 正解はCです。「ようだ」はナ形容詞型の活用をしますから、動詞「聞こえてくる」の前に置くときは「に」になります。
回答者14名、正答C9名、誤答A3名、B2名

緑問題
・このジュースの味は バナナのよう[です] 。
 正解はAです。
回答者13名、正答A12名、誤答B1名

水色問題
・佐藤さんの浴衣の色は、まるで 深い海のよう[だ]と思いました。
 正解はBです。Aの「です」を選んだ人は、発話・思考内容を受ける「と」の前は普通体の文末と同じ形になることを習得していません。
回答者13名、正答B11名、誤答A2名

クイズ2問目:「ようだ」とその後の言葉との接続


7.比喩「ようだ」:基礎会話3
 基礎会話3は比喩の「ようだ」と例示の「ようだ」が含まれますが、時間の関係で比喩の方だけ練習しました。


8.まとめ

・今日のまとめ
「動詞/イ形/ナ形/名詞+ようだ」の接続

・宿題の暗記文
<まだ、ここに書くことはできません。>

・終わりの作文

Task:「ようだ」が比喩を表す文を作りなさい。
    N1は N2のようなN3です。
例1:スモモは小型の桃のような果物です。
例2:日本列島は右を向いた恐竜のような形です。
例3:ルームメイトは 仲が良くて、家族のような人たちです。


雑記:
 今回は「ようだ」を導入しました。時間の関係で、比喩の用法の練習だけをしました。そのため、終わりの作文も比喩の「ようだ」で作文してもらったのですが、一部の学習者は例示の用法で文を作りました。授業後のフィードバックで、そのような学習者には指摘しています。
 その終わりの作文の文型ですが、N3までは要らなかったと思います。「N1はN2のようです。」という文型でも、比喩「ようだ」の習得確認には十分だったように思います。
 1限目と2限目の間には、いつも写真を1枚見せています。今回の写真は田んぼの前に看板があって、空き缶の投げ捨てをしないようにという文言がありました。空き缶が「空缶」と表記されていたので、学習者に読み方を聞いたところ、この2年生だけでなく、3年生も含めて全員「クウカン」と音読みしました。確かに漢字2文字の言葉は2文字とも音読みすることが多いのですが、まれに「訓読み+音読み」する湯桶読みの漢字言葉、「音読み+訓読み」する重箱読みの漢字言葉があることを説明しました。
 ただし「空缶:あきカン」が厳密に湯桶読みの言葉といっていいのか、私はわかりません。「空き缶」の送り仮名「き」の表記を省略しただけの、「見かけ上 湯桶読み言葉」なのかもしれません。しかし私としては、漢字語の読み方の複雑さを知ってもらえればと思って、学習者に説明しました。

 クイズの時に寮部屋で答えを教え合うことを防止するために、今回から問題を4種類にしました。これは前学期やっていた方法です。採点と集計が大変になりました。しかし個人個人の弱点を明らかにするためには、教え合いを防がなければなりません。

Class Activities Record of “Japanese Conversation 4”: 6th-class in Spring Semester 2022

教科名:日語会話4

対象:外国語学院 日本語学科2年生

教科書:新経典日本語 会話教程 第二冊、第2版 第9課~16課 

実施日時:(第6回目、第10課の1回目)
A組 3月16日(水) 08:05~09:25、27名出席、うち1名遅刻
B組 3月18日(金) 08:05~09:25、26名出席、1名欠席


1.授業前の出欠クイズ

問い:次の会話の下線部_には、何が入りますか。

会話:
甲さん:京都が日本の首都ですか?
乙さん:いいえ、それは昔のことです。日本の首都 _ 東京です。

A:は
B:が

正解はAです。

A組:回答27名:正答A24名、誤答B6名
B組:回答26名:正答A24名、誤答B2名

乙さんの答え方は次の2通りあります。
① 日本の首都は東京です。
② 東京が日本の首都です。
今回のクイズは①を使っています。①が「は」を使い、②が「が」を使うことの理由は、よくある「新情報・旧情報」で説明すれば次のようになります。

① 乙さんが「日本の首都」を主語にして答えるとき、この「日本の首都」という言葉は、その前の甲さんの発言にすでに現れています。したがって、旧情報の「は」を使って、「日本の首都は~。」と言います。
② 乙さんが「東京」を主語にして答える時、この「東京」は、その前の甲さんの発言にはありません。そして甲さんの意識にはなかった言葉です。ですから新情報の「が」を使って、「東京が~。」と言います。

 一方で、学問的裏付けは分かりませんが、私が説明する場合は以下のように言うこともあります。

① 「日本の首都」の説明をしますから、「は」を使います。
② 東京1つを取り上げて、日本の首都だと特定しますから、「が」を使います。

 今回、不正解のB「が」は少なかったです。「は」と「が」の使い分けが身についていると、いいのですが。


3.助動詞概論

① 助動詞は、用言と体言の後ろにつく言葉です。
[4自立語+助動詞]の接続を学びましょう。ここで、4自立語とは、動詞、イ形容詞、ナ形容詞、名詞のことです。

② 助動詞は 活用します。

③ いろいろな意味を添える機能があります。
受け身、可能、使役、丁寧、希望、打ち消し、断定、過去、完了、推量、意思、たとえ、例示、推定、伝聞、様態など。

④ 助動詞はあまり明示的には学びません。数が多く、活用も複雑だからです。
1) 動詞と一緒にして、活用形の中に入れてしまいます。
2) 慣用的表現として、学びます。

・クイズ1問目

正解はEです。A組の時は問題に不備があって、選択肢BとEが両方正解でした。

A組:回答27名:正答BE26名、誤答C1名
B組:回答25名:正答E25名、誤答なし

クイズ1問目:助動詞が添える意味


4.「3用言+そうだ」の接続
様態「そうだ」の接続です。
・動詞  : 降る +そうです → 降りそうです。
・イ形容詞: わるい+そうです → わるそうです。
・ナ形容詞: ひまな+そうです → ひまそうです。

伝聞「そうだ」の接続は違いますから、注意してください。


5.ちょっと腕試し
自動詞と他動詞のペア
・お店の外に出ます。←→箱の外に出します。など、6例ほど


6.外観「そうだ:基礎会話1

どうして 外観の「そうだ」を使うのか
他の人の様子を表現するときは、主語「わたし」のように 直接的に表現することはできません。とくに感情を表す形容詞などは、様態の「そうだ」を使って表現します。

・クイズ2問目

正解はIです。Gの場合、②の「ナ形+そうだ」が伝聞です。

A組:回答27名:正答I19名、誤答G7名、誤答AFI_1名
B組:回答25名:正答I23名、誤答H1名、誤答AFI_1名

クイズ2問目:様態「そうだ」のイ形およびナ形との接続


7.予測「そうだ」:基礎会話2
省略


8.まとめ

・今日のまとめ
様態の「ようだ」を学習しました。

・宿題の暗記文
<まだ、ここに書くことはできません。>

・終わりの作文

Task:絵を見て、様態の「そうだ」の外観の文を2,3作りなさい。 例: I君は たのしそうです。
(絵は省略)


雑記:
 最後の終わりの作文は、主に「形容詞+様態そうだ」の作文でした。しかし、何人かの学習者は「伝聞そうだ」で作文しました。今日は授業中に何度も、「今日は様態の『そうだ』を学びます。伝聞の『そうだ』とは言葉の接続が違います」と言いました。10回以上言ったと思います。
 授業後に間違えた一人とDingtalkでやりとりするうちに、そもそも様態と伝聞の意味も区別も理解していないということが判りました。学習者とは漢字文化を共有するので、「様態と伝聞の2種類がある」といえば理解してもらえると考えていましたが、私の考えが甘かったようです。再び、メタ言語を使って教えても、まったく役に立たないということを思い知らされました。

Class Activities Record of “Japanese Conversation 4”: 5th-class in Spring Semester 2022

教科名:日語会話4

対象:外国語学院 日本語学科2年生

教科書:新経典日本語 会話教程 第二冊、第2版 第9課~16課 

実施日時:(第5回目、第9課の5回目)
A組 3月15日(火) 08:05~09:25、27名出席
B組 3月17日(木) 08:05~09:25、27名出席


1.授業前の出欠クイズ

問い:次の文の下線部_ には、何が入りますか。
文:今日の午後は 図書館_ 勉強しようと思っています。

A:を
B:で
C:が

正解はBです。

A組:回答26名:正答B24名、誤答A2名、誤答C0名
B組:回答27名:正答B27、誤答はいませんでした。

 動作の場所は「~で」で表します。この動作の場所「~で」を答えさせる問題を作ると、多くの学生は存在の場所「~に」を使って間違えます。そのため、この出欠クイズでも「に」を選択肢にいれた方が良かったかもしれません。このクイズを作成した時、なぜ「に」を選択肢に入れなかったのか、今では覚えていませんが、選択肢から排除することによって、「に」はあり得ないことを示し、場所によく使われる他の助詞は「で」であることを学習者に想起させようとしたのかもしれません。
 動詞「勉強する」は「日本語を勉強する」など、ヲ格の言葉を使いますので、対象の「を」と動作の場所の「で」のどちらを選ぶかテストしたという意図だったかもしれません。選択肢の「が」は追加で設けました。この国の日本語教育では、「はが構文」が万能であるかのように教えています。そのため、自動的に「今日の午後は図書館が~」と「は」と「が」を入れてしまう学習者もいます。今回、それに引っかかった人はいませんでした。


2.前回の復習

・「Vテあげる」と「Vテもらう」を謙譲語化すると、それぞれ「Vテさしあげる」「Vテいただく」になります。「Vテくれる」を尊敬語化すると「Vテくださる」になります。これらは実際の会話では「~ます。」にします。「Vテくださる」は「Vテくださります」だと言いにくいので、「Vテくださいます」と言います。
・親族名称は次の2つを使い分けなければいけません。
1.自分の家族ではない人と話している時に、自分の家族のことを言う時
2.他の人の家族の人を呼ぶ時

・クイズ1問目

正解はDです。話し相手のご家族には「お-」や「-さん」をつけますが、自分の家族には「お-」や「-さん」をつけません。

A組:回答27名:正答D24名、誤答C2名、誤答A1名
B組:回答25名:正答D25名、誤答なし

クイズ1問目:外の人と話している時の自分側の親族名称


3.基礎会話4:Vテほしい
 「ほしい」には2つの用法があります。
   ① 自分の物にしたい。手に入れたい。:Nがほしい
   ② 自分の希望することを相手に求める気持ち。:(人に)Vテほしい
 基礎会話4では②の用法を学習します。しかし、この表現は、直接人に向かって言うと、押しつけがましい要求になります。そのため、誰かにお願いをする時は「Vテいただけませんか」と丁寧に言いましょう。使える状況を分かった上で使わないと、「Vテほしい」は失礼に聞こえる場合があります。この教科書は配慮が足りません。


4.ちょっと腕試し
助詞「で」の復習
・動作の場所には「で」を使います。「に」は存在の場所です。
・「で」の用法:動作の場所、手段・道具、交通手段、言語、材料、原因・根拠、動作するときの様態、範囲の限定


5.p152:挑戦してみましょう

「Vテほしい」は押しつけがましい要求に聞こえますから、教科書を修正して、「Vテいただけませんか」で「例」を練習しました。


6.日本語の基本の振り返り
第1回目や2回目に学んだ日本語の基本をもう一度振り返りました。
① 文には主語と述語があります。「主語+述語」が成り立つか、確認しましょう。
② 述語部分はとても大切です。肯定・否定、過去・非過去、平叙文・疑問文、その他モダリティ表現などを述語部分で表現します。
③ 助詞の役割、④ 動詞の活用、⑤ 敬語表現など、スピーチスタイルの選択

・クイズ2問目

正解はCです。高齢者には一番丁寧な「ア」を言いますが、友だちに対する言い方と、1年先輩に対する言い方を間違えた人がいました。

A組:回答26名:正答C25名、誤答D1名
B組:回答27名:正答C27名、誤答なし

クイズ2問目:相手に合ったスピーチスタイルの選択


7.まとめ

・今日のまとめ
時間の都合で、最初から省略の予定でした。

・宿題の暗記文
<まだ、ここに書くことはできません。>

・終わりの作文

Task:特定の人ではない対象に向かって、期待、希望、お願いする{ [Vテ]ほしい }の文を作りなさい。
例1:明日は運動会ですから、晴れてほしいです。
例2:今年こそ、新型コロナの流行が 終わってほしいです。
例3:カラスがゴミ箱を汚くするのは、やめてほしいです。
×だめ:佐藤さん、静かにしてほしいんですけど。
(佐藤さん=特定の人:佐藤さんとケンカになりますから、だめです。)


雑記:
 今回「Vテほしい」を学習するにあたって、「ほしい」の2つの用法に言及しましたが、それでは不足でした。今の4年生が2年生のとき、彼らの日本語力を考慮して、次の3つを説明しました。

  ① 私は Nがほしいです。
  ② 私は [人に] Vテほしいです。
  ③ 私は V-マスたいです。

 しかし、今の3年生が2年生のとき、彼らは比較的日本語力がありましたから、③を省略して、「ほしい」の①と②だけを説明して、この第9課の基礎会話4を済ませました。そもそも「Vテほしい」はあまり使ってほしくない表現でもありましたから、簡単に済ませたのです。
今回も去年と同様に①と②だけ説明しましたが、終わりの作文で「ほしい」の誤用が大変多くなりました。それらは、「Vテほしい」を使ってはいるものの、文意としては自分自身の動作の欲求として、「V-マス+たい」を使うべき文でした。ですから、「Vテほしい」が他者への要求であり、自分自身の欲求には「V-マス+たい」を使わなければならないことを、併せて教えなければならないと感じました。

 クイズ1問目と2問目の正答率が高すぎます。ルームメイト同士で答えを共有している疑いが強いです。第7回の授業から、ルームメイト同士で答えが共有できないように出題方法を変えます。教師側の負担が増えますが、学習者が考えないで答えを提出するようなことはさせません。

Class Activities Record of “Japanese Conversation 4”: 4th-class in Spring Semester 2022

教科名:日語会話4

対象:外国語学院 日本語学科2年生

教科書:新経典日本語 会話教程 第二冊、第2版 第9課~16課 

実施日時:(第4回目)
A組 3月9日(水) 08:05~09:25、27名出席
B組 3月11日(金) 08:05~09:25、26名出席、2名欠席

1.授業前の出欠クイズ

切手(きって)、ポケットなどの小さい「っ、ッ」について、正しいのはどちらですか。
A:字が小さくても、1拍分の長さがあります。
B:字が小さいから、この音の長さは短いです。

正解はAです。

A組:回答26名:正答A21名、誤答B5名
B組:回答23名:正答A22名、誤答B1名

 多くの場合、「っ」は音がありません。音がない状態を1拍分続けます。サ行の音など、摩擦音の前の「っ」は摩擦の息が出ます。
 学習者にとっては、促音「っ」の発音の仕方、拍の取り方を教わったり、練習したりする機会がほとんどありません。私の授業では学習者が「っ」を短く発音すると必ず言い直しをさせます。また下に示す図を見せて、視覚的にも「無音が1拍」を理解させようとします。それでも学習者の短い「っ」は、なくなりません。
 歴史的仮名遣いでは促音「っ」を他の文字と同じ大きさ「つ」で表記していました。1拍分の長さがあると言うことを意識するには、大きく書いた「つ」の方がいいかもしれません。B組に対しては前学期に既に同様の問題を出しています。そのときは正答が20名、誤答が5名でしたから、今回のA組と同様です。「っ」の表記が小さい文字であるため、短いと理解する学習者が2割いるということです。

破裂音の前の促音「っ」が無音状態であること示す音声波形


2.前回の復習

・「Vテもらう」と「Vテくれる」の違い:
 教科書の第9課、基礎会話2を使った演習

・クイズ1問目

 正解はAです。解説は下の画像で示します。Fだと思った学習者は、以下が成り立つと考えました。
× 私は 佐藤さんに 大阪城へ 連れて行って あげました。
この文は助詞を直さなければ なりません。
○ 私は 佐藤さんを 大阪城へ 連れて行って あげました。

 ここで、「大坂城」じゃなくて「大阪城」の表記を使いましたが、現在の大阪城と言うことで、お許しいただきたいです。

A組:回答27名:正答A14名、誤答F12名、誤答D1名
B組:回答26名:正答A19名、誤答F6名、誤答D1名

クイズ1問目:「あげる/もらう/くれる」の使い分け




3.応用練習1:例
 教科書では「1人語り」になっていますが、教師の判断で「例」を会話に作り替えました。第3回の授業でも取り上げています。今日はペアに会話形式で読んでもらいましたが、「あげる/もらう/くれる」の使い分けが難しい状態でした。また、助詞の選択に際して、「はが構文」の悪影響がみられました。


4.敬語表現の基本
・日本語で話すとき、相互尊重を基盤として、相手の人と良い関係を保ちながらコミュニケーションします。
・状況と相手に合わせて、スピーチ・スタイルを正しく選びます。
・敬意を払う人を重視して、身内の人、身内ではない人の呼び方を正しく選びます。
・尊敬語と謙譲語のコンセプト
・恩恵表現「もらう/あげる/くれる」の敬語化


5.ちょっと腕試し
・動詞、イ形容詞、ナ形容詞の見分け方
・動詞、イ形容詞、ナ形容詞を短く言い切ったとき


6.クイズ2問目

正解はCです。ほとんど全員正解でした。

A組:回答27名:正答C25名、誤答B2名
B組:回答26名:正答C26名

クイズ2問目:相手との関係性に合ったスピーチスタイル


7.基礎会話3:Vテいただけませんか
 教科書では2人の上下関係を無視して「Vテいただけませんか」を使っています。この「Vテいただけませんか」は目上の人にお願いする時に使います。私の授業では、上下関係を設定しました。例、練習1、練習3は目上の人にお願いをします。練習2は友だちにお願いをします。(練習4は時間の都合で省略)


8.まとめ

・まとめ
 相互尊重、ウチソトでの呼称、Vテいただけませんか

・宿題の暗記文
<まだ、ここに書くことはできません。>

・終わりの作文
Task:自分より目上の人にお願いをする文を作りなさい。
{ [目上の人]、 [物/こと]を [Vテ] いただけませんか。}
例1:先生、日本語の作文を 直していただけませんか。
例2:お客様、ご注文を もう一度言っていただけませんか。

 なお、例2は「言って」だと「いただけ」との敬度のバランスが取れないため、「おっしゃっていただけ」とすべきかもしれませんが、特定形式の尊敬語を使うのは時期尚早と判断して、「言っていただけ」にしました。



雑記:
(1) ウチソト関係で、「家族以外の人と話しているとき、自分の母親を『お母さん』と呼んではいけません。『母』と言いなさい」と授業中に指導したところ、終わりの作文で次のようなものが出て来ました。

母、ご飯を作っていただけませんか。

 このように書いた人が2クラスで4人いました。家族の中での会話では、そして特に母親本人に向かって呼びかけるときは「お母さん」と呼びます。しかし、私が説明したとき、「家族以外の人と話しているとき、」という条件の部分は理解できなかったのです。理解できたのは後半の「自分の母親を『お母さん』と呼んではいけません。『母』と言いなさい」の部分だけだったのです。条件の部分が理解できなかったので、すべての場合に適用してしまうということは、よくあることだと思います。

(2) 今日は用言:動詞、イ形容詞、ナ形容詞の区別を腕試しで取り上げました。私自身はこれらの用語をよく使いますが、日本語を教える中で、メタ言語はほとんど役に立たないと言うことをいつも思い知らされます。教師の側からすると、メタ言語を使えば説明が楽になるように思いますが、学習者からすると、メタ言語は理解を妨げる、さらに余計なハードルになるのではないでしょうか。
 とはいえ、動詞、イ形容詞、ナ形容詞は日本語の説明でどうしても必要な用語です。学習者がその意味を分からないのに教師が用語を振り回しても、全く意味がないというか、有害かもしれません。次の課で「ようだ、そうだ」を学習します。そのさい、名詞も含めた4自立語との接続が問題になりますから、どうしてもこれらの区別が付くようになってほしいと思って、今日は取り上げてみました。

(3)「いただけませんか」を「いただきませんか」や「いただけませんが」と誤記する学習者がみられました。「か」と「が」の違いはよく見られるものです。単純に発音が似通っているために起きる現象か、ピンインのgとk、日本語のgとkの違いが影響するかなどは、今後検討したいと思います。

Class Activities Record of “Japanese Conversation 4”: 3rd-class in Spring Semester 2022

教科名:日語会話4

対象:外国語学院 日本語学科2年生

教科書:新経典日本語 会話教程 第二冊、第2版 第9課~16課 

実施日時:(第3回目)
A組 3月8日(火) 08:05~09:25、27名出席
B組 3月10日(木) 08:05~09:25、27名出席、1名欠席

1.授業前の出欠クイズ

問い:正しい文はどちらですか。
A:昨日は夜、たくさん勉強して、午前1時まで寝ました。
B:昨日は夜、たくさん勉強して、午前1時まで起きていました。

正解はBです。

A組:回答27名:正答B7名、誤答A20名
B組:回答26名:正答B14名、誤答A12名

 「まで」は継続した状態・動作の終わりを表します。「起きている」状態が午前1時に終わりました。それからは、寝た状態になりました。これを「午前1時まで起きていました。」と表現します。
 「まで」を使った問題は、誤答の方が多くなります。もし回答者が無作為に答えを選べば、正答50%、誤答50%になるでしょう。しかし、これまで私が「まで」をテストした結果では、確実に誤答の方が多いです。今回B組は半々くらいでしたが、前学期に「まで」を取り扱った影響があると思います。A組には、今回初めて「まで」の問題を出してみました。2択問題で半々にならないで、誤答が大半になるということは、学習者は「まで」を反対の意味でとらえているということです。
 学習者にとっては、日本語の助詞を明示的に教えてもらう機会が、ほとんどありません。日本語の助詞のような後置詞は母語にないため、取り扱いたくない心理が働くのでしょう。そのため、助詞の理解は、各学習者が日本語に触れる中で推測できる範囲にとどまります。
 「まで」もきちんと教えてもらうことはなく、各学習者が「まで」は何か時間、時刻と関係がありそうだと推測しているレベルにとどまっていると思われます。ここで、同じように時間や時刻と関係のある英語の前置詞をみてみると、at noonとかon Mondayでは、atやonは何かが起きたり、始まったりすることを示します。時間、時刻を表す目印があったとき、それは事が起きたり始まったりすると考えるのが、自然だと思います。今回のクイズで言えば、午前1時は寝る動作をした時刻です。通常は「午前1時に寝ました。」と表現しますし、学習者の多くもそれは理解しています。しかし、「まで」も何か起きたり始まったりする助詞だと考えて、「午前1時まで寝ました。」を正しいと思ってしまうのです。
 しかし、「まで」は動作の時刻や状態の始まりではなく、継続した状態の終わりなのです。厳密には同じではありませんが、英語で言えばuntilが近いと思います。Untilはatやonよりも出番が少ないでしょう。つまり、物事が終わる時を示すという機能は、起きたり始まったりする時を表す機能よりも一般的ではなく、想定しにくいのです。
 繰り返しになりますが、「~まで」は継続した状態・動作の終わりを表します。これは想定しにくい機能でしょうから、やはり「銀行は午前9時から午後3時までです。」というような例文をしっかり理解する必要があると思います。

2.前回の復習

・動詞のテ形:
一段動詞、カ変・サ変動詞
五段動詞:いちり→って、びみに→んで、き→いて、ぎ→いで、し→して、スペシャル行って

・クイズ1問目

正解はAです。

A組:回答27名:正答A26名、誤答C1名
B組:回答27名:正答A23名、誤答BあるいはC4名

「あげる/もらう/くれる」の理解確認です。正答率は高かったです。

クイズ1問目 「あげる/もらう/くれる」の理解確認



3.基礎会話2:Vテもらう
 教科書の基礎会話2は「Vテもらう」と「Vテくれる」を両方使います。しかし、問いと答えで主語が違う会話はよくありません。そのため、同じ基礎会話2を2回に分けて、まず「Vテもらう」を先に練習しました。この中で、家族以外の人に向かって自分の家族のことを話す時は、「さん」を付けないで「父」や「姉」と呼ぶことを学びました。

4.ちょっと腕試し
 助詞「に」の各種用法を復習しました。
割当て・配分、動作の向かう先、基準、存在の場所、移動の目的、動作の時刻、変化後の状態・地位、

5.基礎会話2:Vテくれる
先にやった「Vテもらう」の会話を、今度は「Vテくれる」に直して練習しました。

・クイズ2問目

正解はAです。②と⑤が間違っています。

A組:回答27名:正答A21名、誤答D4名、B2名
B組:回答27名:正答A22名、誤答各種5名

 授受、受け身、使役の表現では「人に物を」と表現することが多いです(違うときもあります)。これが「物に人を」という語順になっても、間違いではありません。Dで間違えた人は、助詞の機能よりも、語順が重要だと考えた可能性があります。

クイズ2問目 授受、受け身、使役の表現での「人に物を」

7.応用練習1:Vテくれる
 教科書では「1人語り」になっていますが、教師の判断で「例」を会話に作り替えました。この教科書の欠点として、「会話教程」といいながら、会話の中にフィラーや相づちがほとんどありません。それらを取り入れた会話にしました。

8.まとめ

・まとめ
時間の制約から省略しました。

・宿題の暗記文
<まだ、ここに書くことはできません。>

・終わりの作文
Task:次の文を作りなさい。
「主語」の誰かが、「私に」恩恵を与えます。主語が自分の「内側」の人の場合は、呼び方に気をつけましょう。
 [主語]が わたしに [物/こと]を [Vテ] くれました。
例1:佐藤さんが 私に 地下鉄の乗り方を 教えてくれました。
例2:工場長が 私に 生産ラインを 案内してくれました。


雑記:
 単なる授業記録にしようと思ったのですが、私の癖なのか、どんどん長くなって、編集時間も長くなって、疲れてしまい、これでは長続きできそうもない、という気分になりました。もっと情報をコンパクトにしないといけませんね。

 このワードプレスの文書作成機能は大変使いにくいです。divを次々と生成してそこに書き込ませているのでしょう。複数行指定とかできなくて本当にいらいらします。仕方がないので、今日はひさしぶりに、div内にHTMLをコピペする作り方をしました。なんでもっと普通に文書を書き込めるようにならないんですか?

Class Activities Record of “Japanese Conversation 4”: 2nd-class in Spring Semester 2022

教科名:日語会話4

対象:外国語学院 日本語学科2年生

教科書:新経典日本語 会話教程 第二冊、第2版 第9課~16課 

実施日時:(第2回目)

A組 3月2日(水) 08:05~09:25、27名出席、ただし2名は出席登録なし

B組 3月4日(金) 08:05~09:25、27名出席、1名無断欠席

授業内容:

1.授業前の出欠クイズ

問い:図書館の人に言います。どちらが良いですか。

A:「この3冊を借ります。」

B:「この3冊を借りる。」

正解はAです。

A組:回答25名:正答A25名

B組:回答27名:正答A25名、誤答B2名

図書館のような公的な場所で人に話すときは丁寧体(です・ます調)を使います。Bのような普通体(だ・である調)で人に話しかけてはいけません。

2.前回の復習

・他動詞の動作対象には助詞「を」を使うこと、物のやりもらいの「あげる/もらう/くれる」

3.日本語概説2:動詞の活用

・動詞の活用の概論:変化しない語幹と、変化する接尾辞

・クイズ1問目

クイズ1問目の問題と選択肢

正解はDです。

A組:27名回答:正答D21名、A4名、E2名

B組:27名回答:正答D23名、各種誤答4名

「話す」のようにアイウエオ段に渡って活用するのが五段動詞です。語幹の最後の字がイ段かエ段で変わらないのが一段動詞です。ナイ形を作ってみると、五段動詞か一段動詞なのか区別できます。ナイ形「話さない」をみると、「ない」の前の字の「さ」はア段の音ですから、「話す」は五段動詞です。「食べる」のナイ形「食べない」をみると、「ない」の前の字の「べ」はエ段の音ですから、「食べる」は一段動詞です。

・テ形の機械練習

4.2限目開始前の「ちょっと腕試し」コーナー

・Vテイルの4用法、反復、現在進行中、持続、結果残存

   

5.基礎会話1:Vテあげる

 Vテあげる、Vテもらう等の恩恵の表現は、誰が誰に何をどうしたのか、読み取らなければなりません。効率的な習得のためには、「主語=私」にして、学習者にとって真正性の高い例文を使うべきだと思います。ところが、この新経典日本語会話教程第二冊の第9課・基礎会話1の例文は、「林さんはお子さんにVテあげているんですか」などと「私」を使わない文で学習することになっています。

 この点、みんなの日本語初級I24課では、きちんと「私」を使っています。恩恵を受ける「Vテもらう」では「私」が主語の文を使っています。恩恵を与える「Vテあげる」でも「私」が主語の文を使っています。恩恵を与えるけれど「私」が主語になれない「Vテくれる」は恩恵を受ける人を「私」にしています。このように「私」を例文に使う配慮をしています。

 新経典日本語 会話教程 第二冊は、このような配慮が足りません。また、学習者の負担を考慮せず、不必要に習得項目を2つ組み合わせることも多いと感じています。

 本日の授業では、この基礎会話1から、例、練習1、練習4を実施しました。練習4のときに学習者が「上野さんのお孫さん」を「孫」と呼んだため、他者の親族を呼ぶときの注意点を強調しました。

・クイズ2問目

クイズ2問目の問題と選択肢

正解はAです。

A組:回答26名(1名無回答):正答A14名、誤答D10名、誤答B2名

B組:回答27名:正答A13名、誤答D7名、誤答B6名、誤答C1名

 学習のターゲットは「Vテあげる」をしっかりと習得することです。しかし、教科書には、恩恵を受ける人を3段階に分けて、表現の違いが記載されています。相手が上の立場のときは「Vテさしあげる」にすることも、知っておいた方がいいでしょう。ただし、相手が下の立場のときに「Vテやる」を使うのは乱暴に響くため、現在では相手が犬であっても「Vてあげる」を使う傾向があるそうです。

 したがって、このクイズは3段階の表現の違いを学ぶと言うよりは、中段の白い部分で「恩恵を与える人」「恩恵を受ける人」と言っているのが、上段の灰色部分で誰に相当するのか、論理的に理解することの方に目的を持たせたつもりです。その点では、Dの誤答が多いのはちょっと残念な結果でした。アとイが正答と逆転していますし、ウでは人より犬の方が偉いことになっています。

6.まとめ

・宿題の暗記文

<まだ、ここに書くことはできません。>

・終わりの作文

Task:次の文を作りなさい。主語「私は」です(書かない)。

  [人]に [物/こと]を [Vテ] あげました。

注意![人]は、自分と同じ身分の人か、少し低い身分の人にします。

例1:友だちに 日本語の辞書を かしてあげました。

例2:弟に 紙飛行機を 作ってあげました。


雑記:

 私は2台のパソコンを使用してオンライン授業を行っています。一方、韓国語のJ老師はノートパソコン1台、ダブレット大・中それぞれ1台、スマホ1台でオンライン授業をしているようです。微信に写真を載せていました。J老師はテンセント・ミーティングを使っていて、私のDingtalkより使い勝手や安定性が良いでしょう。おそらくそれらの機器とテンセント・ミーティングの機能を駆使してハイテクなオンライン授業をしているものと思われます。

 一方、私は2台のパソコンでローテクなオンライン授業をしています。私の方は、教室での対面授業に近いオンライン授業を目指しています。だから教室と同じようにスクリーンに投影して、私がその横で動き回る様子をウェブカメラでとらえて、動画として配信しています。

 どちらが優れているというのではなく、各教師が自分自身に合った方法でオンライン授業をすればよいでしょう。私は、残念ながら、自分自身のITリテラシーがやや低いこともあって、自分にできる方法として現在の授業方法に落ち着いた面があります。J老師のようにデバイスの画面上ですべて行う方法にも利点があります。まず小さい字を使っても学生にははっきりと読めるので、1枚のスライドに多くの情報を書き込むことができます。またデータの転送量が少ないので、通信が安定します。当該国では通信が混んだりすると、動画のように情報量の多いデータは障害を起こしやすくなります。

 私の、プレゼンを教室と同じようにやって動画配信する方法は、やはり動画ですからデータの転送量が多く、通信障害の影響を受けます。また、スクリーンに投射した時点でピンボケになり、ウェブカメラのレンズを通した時点でピンボケになり、転送可能な画質に落とした時点でまたピンボケになります。ですからあまり小さな字を使うことはできません。私がパワーポイントのスライドを作るときは、文字サイズを24ポイントにしています。漢字の読み仮名が必要な時は16ポイントにしますが、学生の画面ではほとんど読めない字になっているようです。

 そのように字がぼやけて1枚のスライドに書き込める情報が多くなくても、教師の私の表情や動きが学習者には見えるので、とくに会話の授業などでは今のやり方が良いと思っています。画面を手差しするなどの動作が素早くできて、学生にも伝わります。ただし、エプソンのプロジェクターの光が強烈ですので、画面は明るくても、その横にいる私の表情は暗いです。そのため、今回、私を照らす100W電球を取り付けてみました。まだ私の顔は暗いのですが、「そこにいる」くらいは学生にわかるようになりました。

 しかし、まあ、どんなに頑張っても、オンライン授業は教室の対面授業にはかないません。現地にいる日本人教師に比べて、私は圧倒的に不利です。もちろん、不利だと嘆いて何もしないのではありません。学習者の利益のために、少しでも効果的なオンライン授業をするように工夫を重ねるつもりです。

Class Activities Record of “Japanese Conversation 4”: 1st-class in Spring Semester 2022

教科名:日語会話4

対象:外国語学院 日本語学科の2年生

教科書:新経典日本語 会話教程 第二冊、第2版 第9課~16課 

実施日時:(第1回目)

A組 3月1日(火) 08:05~09:25、27名出席(1名は出席登録なし)

B組 3月3日(木) 08:05~09:25、27名出席(1名は出席登録なし)、1名欠席

授業内容:

1.授業前の出欠クイズ

問い:次の文の[X]と[Y]には、何が入りますか。

文:昔むかし、あるところに おじいさんとおばあさん[X]いました。ある日、おじいさん[Y]山へ しば刈りに、おばあさん[Y]川へ洗濯に行きました。

A:[X]=は、[Y]=が

B:[X]=が、[Y]=は

正解はBです。

A組;回答26名、正答B17名、誤答A9名

B組;回答26名、正答B22名、誤答A4名

[X]には新情報として「が」が使われます。「が」を使って、おじいさんとおばあさんが登場しましたから、次におじいさんとおばあさんが出てくるときは旧情報の「は」が[Y]に使われます。この2つある[Y=は]は、おじいさんと、おばあさんを対比する役割もあります。

2.日本語概説1:主語と述語

(1)主語と述語:主語と述語が対応することを確認します。

(2)文で一番大切なのは述語(文末)です。

(3)クイズ1問目:

クイズ1問目の問題と選択肢

正解はAです。

A組;回答27名、正答A24名、誤答D3名

B組;回答27名、正答A26名、誤答D1名

文を推敲するとき、主語と述語が対応しているか、確認することは大切です。しかし、その確認をするためには、まず主語が何か、述語が何かわからなければなりません。述語は文末にありますから、探す苦労はありません。一方、主語の方は、どれが主語なのか、探さなければなりません。このクイズの目的は、正しく主語を見つけられるかどうか、調べることでした。ヒントは、助詞の「は」か「が」が付いている言葉です。言葉を学習するときは主語が何か、わかる力がなければいけません。正確に主語を見つけられるようにしましょう。

3.ちょっと腕試し(2限の前のミニ・トピック):格助詞「と」の各種用法

  

4.日本語概説2:助詞の働き

(1) クイズ2問目:

クイズ2問目の問題と選択肢

正解はGです。

A組:回答27名、正答G17名、誤答各種10名

B組:回答27名、正答G18名、誤答各種9名

AからFには多少不自然な語順の文もありますが、明確な文法間違いと言える文はありません。助詞は順番で決まるのではなく、機能で決まります。助詞のおかげで、日本語の語順には自由度があります。

4.動詞述語文

 過去/非過去、肯定/否定での文末パターン

 自動詞と他動詞の違い 

 「人に物を」のやりもらい文

5.まとめ

・宿題の暗記文

 わたしは ミラーさんに 辞書を 貸して あげました。

・終わりの作文

Task:次の文を作りなさい。主語「私は」です(書かない)。

   [人]に [物]を もらいました。

例1:友だちに 日本のおみやげを もらいました。


雑記1:

 2台のパソコンを使用してオンライン授業を行っています。1台はDingtalkに接続するためのパソコンです。もう1台はプロジェクター投影してプレゼンを行うためのパソコンです。普段はDingtalk用のパソコンでパワーポイントを作っていて、授業の前にデータをプレゼン用パソコンに移します。前学期まではUSBドライブでコピーしていましたが、今回、マイクロソフトのOne-driveでのデータ共有を試みました。問題点が2つありました。

1,One-driveへのデータ転送は時間がかかります。授業直前にパワーポイントのデータをOne-driveに置いても、もう一台のパソコンで使用可能になるまで数分かかります。

2,エプソンのプロジェクターの電波はインターネットwifiを圧倒してしまうので、プロジェクターに電源を入れると、インターネットが使えなくなり、当然、One-driveでのデータ受け渡しもできなくなります。

上記のような問題がオンライン授業直前に発生すると、慌てます。今日は結局、USBドライブでパワーポイントのデータをコピーしました。ローテクの方が確実性が高いという一例でした。

雑記2:

 こうした記録は、常体(普通体、だ・である調)で書くのが普通ですが、それをすると、読んだ学生がまねをします。学生の多くは「です・ます調」と「だ・である調」の使い分けを知りません。ともすれば短い「だ・である調」で日本語を書く癖が付きます。そうすると、日本人向けに日本語を書いたときなど、乱暴な文体で日本人のひんしゅくを買うことが想定されます。ですから、私としては面倒くさいですが、この文章は「です・ます調」で書こうと思っています。

Course Schedule of Japanese Conversation 4 in Spring Semester 2022

教科名:日語会話4

対象:2年生

教科書:新経典日本語 会話教程 第二冊、第2版 第9課~16課 

以下に授業計画を示します。変更するかもしれませんが、予習のときに参考にしてください。

第1回9課1回目:日本語概説、4自立語の述語文の文末、助詞の働き、動詞述語文、「に、を」動詞文、物のやりもらい文

第2回9課2回目:前回の復習、動詞の活用、テ形の機械練習、Vテあげる:基礎会話1

第3回9課3回目:前回の復習、もらう・くれるの区別、Vテもらう:基礎会話2、Vテくれる:基礎会話2、応用問題1

第4回9課4回目:前回の復習、応用練習2:Vテもらうくれる、敬語表現の基本、基礎会話3:Vテいただけませんか

第5回9課5回目:前回の復習、基礎会話4:Vテほしい、挑戦してみましょう

第6回10課1回目:助動詞概論、4自立語と「そうだ」の接続、そうだ外観:基礎会話1、そうだ予測:基礎会話2

第7回10課2回目:前回の復習、応用練習1:そうだ外観、ようだ接続、ようだ/みたいだ:基礎会話3

第8回10課3回目:前回の復習、応用2:ようだ・みたいだ、基礎4:典型らしい

第9回10課4回目:前回の復習、挑戦の一部、と思います、挑戦してみましょう

第10回11課1回目:前回の復習、ようだ推測:基礎会話1、ほかの推測「でしょう、だろう、かもしれない」

第11回11課2回目:前回の復習、そうだ伝聞;基礎会話2、~と言っている:基礎会話4

第12回11課3回目:前回の復習、らしい:基礎会話3、応用2:ようだ、らしい

第13回11課4回目:前回の復習、見える・聞こえる、 応用練習1

第14回11課5回目:前回の復習、「そうだ」伝聞と推測の区別、挑戦してみましょう

第15回12課1回目:接続助詞概論、動詞バ形(条件形、仮定形)導入、「ば」「なら」接続と使い分け、挑戦してみましょうの一部「名詞+なら、」

第16回12課2回目:前回の復習、基礎会話2:ば、基礎会話3;どうVばいいか

第17回12課3回目:前回の復習、基礎会話1:なら、応用練習2:なら、ばいい

第18回12課4回目:前回の復習、基礎会話4:ずに、応用練習1、挑戦してみましょう

第19回13課1回目:前回の復習、基礎会話1:~と、応用練習1

第20回13課2回目:前回の復習、基礎会話2:たら・ても、基礎会話3:たら、どうする

第21回13課3回目:前回の復習、基礎会話4:たらどうか、基礎会話5、応用練習2

第22回13課4回目:前回の復習、基礎会話6:過去の1回性たら、挑戦してみましょう

第23回13課5回目:「と・ば・たら・なら」総復習、逆接の接続助詞「ても、が、のに」、第14課基礎会話5「のに」

第24回14課1回目:主語と目的語、「をに」の他動詞文の復習、基礎会話1:「を」のない受け身

第25回14課2回目:前回の復習、基礎会話2「を」のある受け身、応用練習1

第26回14課3回目:前回の復習、基礎会話3:自動詞の受け身、基礎会話4:行為者不明の受け身

第27回14課4回目:前回の復習、応用練習2、挑戦してみましょう

第28回15課1回目:使役のコンセプト、基礎会話2;自動詞の使役、基礎会話3:感情誘発

第29回15課2回目:前回の復習、基礎会話1:他動詞の使役、応用練習1

第30回15課3回目:前回の復習、基礎会話4;とおり、応用練習2

第31回15課4回目:前回の復習、挑戦してみましょう

第32回16課1回目:使役+恩恵(詳細未定)

第33回16課2回目:使役受け身(詳細未定)

第34回:予備日

Online Teaching for Class 1837 (Conversation) on July 3, 2020

Date: July 3rd on Friday, 2020 from 13:40 to 15:10 (14:40 – 16:10 in JST)

Course: Japanese Conversation 4

Used app: Streaming was used at the first, and then Video conference was used i n the second half of the class. Both are the functions of DingTalk. Dingtalk’s BBS is also used to show the students some images.

Numbers of Students:

 – Attendance check by the students’ self-claimed input of “Shusseki” onto BBS : 26

  – Attendance check at the end of the class by the names appearing on the streaming show windows: 21

Class Activities:

(1) Review of the last class by PPT slide show streaming

  – The listening material taken from section 12-1 of “Dekiru Nihongo” in which Park-san says that she doesn’t feel well to her friend Yamaguchi-san.

  – The students repeated some practices for several expressions included in the conversation like the particle “-mo” for emphasizing how much it is, another particle “-shika” for emphasizing how less it is, suggestion “-tara douka”, and doing something A without doing something B “-naide,”

(2) Learning the new part of the conversation between Park-san and Yamaguchi-san.

 – Using Dingtalk’s function of video conference, the class learned the new part of listening materials that follows what we had learned. It included “-trashii” and “-naide,”

Homework Assignment:

– No HA.

Issues and Problems:

 This was the last class in the second semester.