<個人的なログです>
■ 個人授業1:2時間:教材「できる日本語 中級(青色)」
教案、教材の準備は2時間ほど。次回は最終回の特別授業なので、今回が通常授業の最終である。そろそろ気が抜けてきたのか、学習者3のPPT作成で疲れ切ってしまったのか、準備もほどほどでレッスンにのぞんだ。最終日にさせるプレゼンの原稿を流ちょうに読み上げる練習をした。この学習者の国の人たちは、みな日本語の高低アクセントで苦労しているのだろう。拍もなるべく等間隔にしてほしいが「観光地」は難しいようである。もうひとつの教材では、体の向きを変えるのにあたって、なぜ先に枕を動かす必要があるのかを説明させようとしたが、自分の表現したいことと、自分が日本語で表現できることの差に、気づきが得られたようである。先週カットした、有意味・談話構造でのやりとり練習をしてみたが、モダリティ部分の表現方法が、まだまだだと感じた。意味論的なやりとりを成立させることと、表現上の形式を正しく発話すること、この両方を成立させるのは、学習者にとっては難しいようだ。だから最初は意味を切りはなした形式だけの教え方になるわけであるが、しかしそれだけでは実際の会話で運用できるようにはならない。後半は「上級へのとびら」の7章のオノマトペをやってみた。学校ではオノマトペについてあまり教わっていないとのことで、私のレッスンが終わる前に是非ともやっておきたかった事項である。読み物を2回リスニングしたあと、160頁の問題をやらせてみたら、ほとんど正答だった。最後は連休中の予定をフリートークさせて、時間通り終了。この最後のフリートークで、日本語能力試験の出願状況について聞いて見た。担当教師とのやりとりを私に説明するところで、間接引用にすべきところ、直接引用にするので、どうしても幼稚に聞こえてしまう。このあたりの練習もしておけば良かったかもしれない。今回の授業は準備がいい加減だったにもかかわらず、時間配分等がわりとうまくいった。慢心しないよう注意すべきだ。残りはあと1回。
■ 個人授業3:1時間半:教材自作だが、みんなの日本語の練習Aに準拠
最終回:先週使うつもりでいたがレッスンキャンセルにより使わなかったハガ構文の教材・教案を使った。もともとの作成時間は5時間だったが、今回用に改変を加える作業で2時間ほど。今回も漢字学習を準備していたが、時間がなくなりそうだったし、今までの漢字学習で書けるようになった漢字がほぼないことから、今回漢字学習はカットした。復習として副詞「もう、まだ、とても、あまり」の練習。本日の新規の内容としては、まず2つの形容詞をならべること。それから理由の「から」の導入。最大の導入項目はハガ構文であり、「好きだ」「ほしい」の2語を述語にしたハガ構文を学習。そして最後は「生物がいる/物がある」。最終回だからとなんとか詰め込んだが、これらが学習者に定着して運用できるようになるかといえば、まったく無理であろう。私がこれまで教えた中では、初めてゼロからスタートする学習者だった。学校に入る前にできるだけ多くの内容を教えようと、無理をしすぎたかもしれない。しかし、教える側が何を教えたかではなく、学習者がどれほど運用できるようになったかが、もっとも大切なことである。こういうことになるのであれば、導入は移動の自動詞あたりまでにして、もっと学習者の運用を確実にする教え方にすべきであった。教える側の未熟さによって学習者の伸びる余地を奪ってしまったかもしれず、後悔の多い状態で終了となってしまった。
■ 個人授業5:1時間半:教材「できるにほんご初級・赤」
1回目:予定では5回レッスンするつもりのうちの2回目。教材・教案作成に4時間。本日は音声教材が使えない場所でのレッスンだったため、私がモデル発話をした。あまりいい声ではないと思う。「できる日本語」から1-1のトラックA02-04は前回の復習。「こちらこそ」が定着しない。新しい学習内容としては、1-1のトラックA05-07に現れる否定の表現「じゃ ありません」。レッスン時に気づいたが、「じゃ ありません」の理解確認をどうすれば良いのか、事前検討で考えていなかった。一瞬焦ったが、会社員の人のことを「学生ですか」と聞き、学生の人のことを「会社員ですか」と聞いて、学習者に「じゃありません」と答えさせることにより、理解確認とした。それで効果的だったかは分からない。次の1-2のトラックA09-10で誕生日が出てくることから、月の呼び方を先行導入した。カレンダー上の日付の読み方も導入したかったが、単純な作業に学習者が飽きてきたような様子も見えたことから、31日分読み方を書き取らせるのは大変だと判断し、本人の誕生日の日付のみにした。1-2には関係ないが、ついでに曜日と毎正時の呼び方もやった。準備段階では1-2ぐらいで終わるだろうと想定したが、万一早く進んだ場合に備えて、数字、特に金額の呼び方と、こそあどの一部を用意していた。前者に突入。値段を聞いて答える練習が意外にすいすい進んだ。後者のこそあどはさすがに早すぎるので次回以降とした。まだひらがなカタカナで読めないのもあるが、事細かな文字指導よりは、実際に運用する中で読み方をおぼえるようにすれば良いのではないかと考えている。レッスン回数が少ないので、文字指導に時間を使いたくないのが実際。
2回目:5回授業のうちの3回目。本日は部屋を予約したのでPPT授業をした。「できる日本語」の初級を使っており、これをパワポ授業化する作業に11時間かかった。そんなに時間をかけて「できる日本語」のPPT教材を作るべきなのかは問題である。というのは、「みんなの日本語」なら一度PPT教材化しておけば、将来また使う時に準備が楽であろう。しかし、「できる日本語」を採用している日本語学校はそんなにないだろうから、今時間を費やしてPPT教材を作っても、将来ふたたび使う機会があるかどうかわからない。たった一人の学習者のためにそこまでするのか、迷いがないわけではない。ただ、今回PPT化するのは極めて初級の部分なので、授業以外のボランティア活動等で使い回すこともあるのではと期待して作業したものである。「できる日本語」は絵が多いので状況説明がしやすいこと、パクさんの声が元気なことが長所ではあるが、PPT教材化にあたっては、どのようにセグメント化するかなど、けっこう工夫が必要である。今回は、まず復習として三つの塊、①1-1のTrack02-04と、②Track05-07、③1-2のTrack09-10を設け、新規導入として、2-1のTrack18-19を塊④とした。Track20は店員がしゃべるので「ここ・そこ・あそこ」が丁寧に「こちら・そちら・あちら」になるが、今回は割愛した。ちなみに趣味を語る1-3は現時点での実用性がないと考えて省略。塊②③④は、スクリプトの穴あきが増えていって暗記させるセッション付きであるが、実際のレッスンでは、時間の都合上、③と④の穴あき増加セッションはあまりやれなかった。穴あきで感じたが、若い人の記憶力は素晴らしいと思う。復習では、「じゃありません」「N1のN2」の定着が進んでいるように感じた。今のところ、極力文法臭さを感じさせないレッスンにしている(と自分では思っている)。時間さえあれば文法も含め多面的に教えたいが、今回はレッスン回数が少ないので、私の勝手な判断で教える内容の取捨選択をしている。たとえば、漢字指導はしない。ひらがな・カタカナについては、読めないとさすがに困るので、本日チェックをしたが、カタカナはまだ勉強していないということなので、放っておく。それから、自然な発話を妨げたくないため(と理由をつけて)、高低アクセントも直さない。また語彙の導入も最小限である。34ページ「言ってみよう」□1のニコニコショッピングビルはいろいろな物が描いてあるので、語彙が多ければいろいろと遊べるはずであるが、残念ながら「本屋」も「食堂」も導入しない。日本語を本格的に学ぶのは次回来日した時になるだろうから、今回は楽しく学ぶことがメインで、学習者が運用できる日本語がほんのちょっとできれば良い、よいといったスタンス。今回はパクさんの「エスカレーター、エスカレーター・・・」が気に入ったようである。あと2回しかないが、パクさんの「ぶたにく?」まで到達したいものである。